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英語学習

音読で英語力を上げよう

「英語力を上げるにはどうしたらよいか。」とよく聞かれますが、私は、迷わず音読を中心とした学習をおすすめしています。

「TOEICの点数を上げる必要がある」、「大学入試に合格する必要がある」、「スピーキングテストがある」といったニーズが多くありますが、点数での結果を短期間に上げようとした時、それらを専門にした先生方による、点数を上げる「攻略法」なるものは、いくらでもあると思います。

ただ、外国人とコミュニケーションをとることを目標とした「本当の英語力」を伸ばしたいと思われているのでしたら、そういった数字(点数)への最短距離を初めから求めることはせず、一度音読を中心とした学習を試していただきたいと思います。

時間はかかるかも知れませんが、結果的に点数がついてくることは確実です。

音読は、基本は、声に出して読むということであって、一見簡単なことのように思えますが、実は、ただ読もうとしても、とても単調な作業ですので、すぐにあきてしまうと思います。長続きさせるのは難しいかも知れません。

この記事では、音読を中心とした英語、英会話の指導をしてきた私の経験をいかして、長続きできる音読学習の方法について説明したいと思います。

目次

この学習法ができるまで

方針

こだわり

テキストの選び方

学習の目安の時間

音読の種類

英語音読学習のメニューはこれだ!

英語音読学習のメニューの詳細説明

音読学習がおすすめな理由

最後に

この学習法ができるまで

私は、海外の大学院で言語教授法を専攻し、高校教師などの経験、英語圏での長期の生活などから、音読中心の英語学習の効果を実感しました。

そして、音読を続けるには、学習の流れに工夫が必要と感じ、プライベートレッスンで試行錯誤をし、この学習法にたどりつきました。

方針

音読学習には様々なやり方がある中、私の結論として、まずは、発声から入ろう!という方針で指導しています。

つまり、読解や文法は後回しでOKということです。

決して文法を軽視しているわけではありません。この記事をご覧の皆さんは、この点ご理解いただきたいと思います。

もちろん、他の先生が違うやり方を説明していたよ!という方がいると思いますが、まずはこれから説明します方法で試していただけたらと思います。

こだわり

私のこだわりをもう少し申し上げたいと思います。「音読は一人になれて、静かなところでするべきだ。」と考えています。椅子かソファにすわり、「がっつり音読」が基本だと思います。

また、音源はスピーカーで聞きましょう。イヤホンはおすすめできません。

そして、大きな声を上げることになりますので、家族に「これから、音読するよ。」と、音読宣言をしましょう。家族の応援も得られれば、長く続ける原動力になります。

テキストの選び方

テキスト選びは、とても重要です。ネットでもいろいろアプリがありますが、現在のところ、本として出版されて書店で購入できる本の方が、音源や内容もレベルが高いというのが、私の見解です。皆さんにあったCD付きのテキストを選ぶことが重要です。

おすすめなのは、見開き2ページに左側に英文が、右側か下に日本語訳や単語がかかれているものです。

具体的には、Z会速読速聴英単語シリーズ (松本茂さん監修)がおすすめです。

「速読速聴英単語」シリーズです。似ている名前の「速読英単語」ではありませんので、ご注意下さい。

上記の条件がすべてそろった本です。生徒さんのレベルに合わせていくつか種類がありますので、自分にあったレベルの本を買うことをおすすめします。

注意ですが、このシリーズには、本の名前に、「英単語」と入っていますが、決して単語の学習からは入らないで、ぜひこれからお教えする音読学習メニューにそって学習されることをお勧めします。

学習の目安の時間

目安の時間は、基本は、1チャプターにつき、60分から90分程度を想定しています。ただし、文が短い場合は、30分程度で終わってしまうこともあると思います。

まずは、本を一冊終わらせることを目標に1チャプターごとの音読学習をコツコツ頑張っていきましょう。

音読の種類

音読中心の学習のメニューに入る前に、音読ということについて、ご説明したいと思います。一概に音読といっても、様々な種類があります。ここでは、私が考える4つの音読方法の違いをまず説明したいと思います。

①何もなしで一人で音読

テキストを見ながら読むだけのものです。これは、学校で先生に読んでみなさい、と言われてさされて読む、あの音読です。

英語以外に国語の授業でもよくありますね。ただ、このやり方のみで英語の音読をしますと、間違った発音が身についてしまう可能性があります。

②リピーティング

テキストを見ながらネイティブスピーカーの後について発音する作業です。よく学校の英語の授業でも用いられる手法です。

③オーバーラッピング

テキストを見ながらネイティブスピーカーと同時に発音する作業です。私のやり方では、この作業に多くの時間をさきます。なぜなら、同時に読むことで、自身の発音とネイティブスピーカーとの違いを感覚的につかむことができるからです。

また、リピーティングよりもCDを止める、つけるといった作業がないため、面倒な作業が減るという利点もあります。

④シャドーイング

テキストを見ないでネイティブスピーカーと約1秒ずれて、発音する作業です。音読というと、シャドーイングという言葉をよく聞くと思います。

英語力を上げるには、非常に効果的な作業ですが、上級者以外は、少し難しいこともあり、私のやり方では、最低限の時間のみの作業としています。

英語音読学習のメニューはこれだ!

こちらがおすすめの英語音読学習のメニュー、流れになります。

  1. リスニング
  2. リピーティング
  3. オーバーラッピング
  4. 単語
  5. オーバーラッピング
  6. シャドーイング
  7. オーバーラッピング
  8. 読解
  9. オーバーラッピング
  10. 一人で音読
  11. オーバーラッピング(シャドーイング)
  12. リスニング

⑬じっくり読解、文法、単語、リスニング

その後 音読を数十回行う

上記のメニューは、おすすめしたテキストの、1チャプターごとに行う音読学習の流れです。

まずは、細かい説明の前に、簡単に音読学習の流れをお伝えしたいと思います。①から⑫までの12個のメニューを用意しました。⑬は、⑫までのメニューが終わった後でしていただきたいことになります。

この方法は、私が実際に生徒さんたちを指導してきて、試行錯誤を繰り返した上で、一番効果的なやり方だと思っています。皆さんも、このやり方でまず始めてみて、もし慣れてきましたら、皆さんなりにアレンジしていただいても、まったくかまいません。まずはこれでやっていきましょう。

私が使っているメニューの最大のポイントというのは、①で、最初にリスニングをして、最後にまた⑫でリスニングをするということです。これは、どういうことかというと、音読をすることで、どれだけリスニング力が伸びたかどうかが最後にわかるということです。

これにより、達成感を味わうことができ、それが大きなやる気、モチベーションになるということです。だらだらと読んでいるだけでは、力がついているのかどうか確認することができませんからね。

英語音読学習のメニューの詳細説明

それでは、これからメニューのくわしい説明をしていきます。

まず、①ですけれども、リスニング、聞くということです。皆さん、テキストを用意していただきましたら、テキストは開かないで閉じたままでまず聞いてみましょう。そして、聞き取れた単語を紙に書いてみてください。

会話内容を完全にわからなくても結構です。どんなことを話しているのか、ちょっと推測してください。この時点では、直観で推測するだけでもOKです。聞き取れた単語をメモした紙は、後で確認しますので、保管しておいてください。

聞こえた単語をチョコチョコ書いていくということです。もし、スペルがわからなかったら、カタカナでも結構ですし、完全にスペルがわからない状態でも結構ですから、できるだけ書き出してみましょう。

どんなことが聞き取れたのかなと確認しながら、聞く。内容については、漠然とした理解でこの時点では、まったくかまいません。

メモをとっていただく理由というのは、初めにもお話しましたけれども、これから音読をすることで、最後の⑫で、リスニングをした時、どこまで伸びたかを確認したいということがあります。

次に、リピーティングです。後について読むということです。文やきりのいいところでCDをいったん止めて、繰り返して読みます。今度は、テキストを開いてください。

まず、CDでスピーカーの後で、きりのいいところで、切って後について読みます。皆さんは多分、学校でも普通にそういったトレーニングはしていると思います。これは、簡単な作業ですね。

もし、文字として読めない単語があったとしても、この時点では、気にせず、少しでもスピーカーと同じような発音をするように心がけるだけで結構です。これが②のリピーティングでした。

次は、オーバーラッピングということをします。これは、どういうことかというと、同時に読むということです。スピーカーが会話をしている同じペースでテキストを読むということです。オーバーラッピングは、音源の会話に重ねるように読み上げていきます。

②のリピーティングと同じように、テキストを開いて読みます。会話の意味は、この時点では考えなくてもいいです。ひたすら、スピーカーと同じになるように読み上げていってください。

もし、読めない単語があったとしても、③の時点では、少しでもスピーカーと同じような発音をするように心がけ、完璧にしなくて結構です。

オーバーラッピングでネイティブとご自身の発音の違いを感じ、イントネーションのリズムに慣れて、発音を修正していってください。「あら、違うな」と感じる点を自分で発見することが力になります。

④は、単語です。学校では、まず単語確認から始まると思いますが、私の音読学習のメニューでは、この時点でやっとでてきます。

ここまでで読めなかった単語があると思います。私の推薦した本では、だいたい見開きのページの横か下に単語欄があるものが多いのですが、もし、見開きにない場合や、わからない単語が単語欄にない場合は、この時点でネットなどで検索して、単語の意味と、そして重要ですが、必ず発音も確認して下さい。

日本人の方に注意すべき発音として、具体的には、L R Th F V W がありますが、それらについては、他の方のブログや、YouTubeでも様々な動画で解説がでていますので、そちらを参考にしてみてください。

⑤は、オーバーラッピングの2回目になります。テキストを開いて作業をしてください。単語を確認したわけですので、内容の意味を推測しながら、読むように心がけましょう。

⑥は、新しい作業です。この方法は、会話に影のようについていくことから、シャドーイングと呼ばれています。簡単に言えば、CDを聞きながら、ずらして発声するということです。今度は、テキストを閉じてください。

ネイティブスピーカーの会話の1秒遅れぐらいで、声に出して発声します。完璧にする必要はありません。できるだけ、マネをする努力をする。それだけで、いいのです。

ここは、英文を読んではだめです。本を閉じて、ひたすら、ネイティブスピーカーの声を聴きながら、音を追いかけていくということです。

⑦は、オーバーラッピング3回目です。テキストを開いて作業をしてください。発音にも気を付けて読んでいきましょう。

⑧ですが、ここまで、ずっと意味を考えずに読んでいました。文法について全然やっていなかったと思います。

やっとここで初めて、英文の意味や文法を確認します。テキストの見開きにある日本語訳も確認していきます。

何度も英文を読み上げたため、黙読する速さが少し早くなる感覚を味わえます。完全に日本語に訳すのではなくて、文章を英文のまま理解するよう心がけます。

さて、注意ですが、この時点でも、わからない文法などに時間をかけすぎず、日本語訳で、まず納得しましょう。実は、⑫のメニューの後、⑬でじっくり時間を作ることが大事なのです。⑬については後で説明します。

⑨は、オーバーラッピング4回目です。テキストを開いて作業をしてください。読解も行いましたので、この時点では、意味を考えながら読むように心がけます。

⑩ですが、今までは、ネイティブスピーカーを頼りに英文を読んできましたが、これは、一人で作業となります。

自分のペースで一人で全文を読んでみます。(全文を一気に読むのは難しいと思う方は、②のリピーティングと同じように、一文ごとにCDを止めて、後について言ってみましょう。)

これは、皆さんの発音をご自身が評価するためにも必要です。ぜひ自分の発音を録音して、聞いてみましょう。ネイティブの発音との発音の違いに客観的に気づくことは大切です。また、皆さんの先生にこの音声を聞いてもらい、評価してもらうこともできますよね。

⑪は、オーバーラッピングの5回目です。テキストを開いて、意味を考えながら作業をしてください。中級以上の方は、ここをシャドーイングの練習に置き換えても結構です。

最後に⑫、リスニングです。テキストを閉じて、リスニングを行ってください。

リスニングが終わった時点で、①のリスニングでとったメモを確認してみてください。そこでは、2割くらいしかわからなかったとしても、⑫のリスニングで、飛躍的にリスニング力が伸びたことが感じられると思います。

この感覚が、癖になり、あきずに、音読学習が続けられるようになる、原動力になると思います。

私の音読のメニューは、⑫までと言いました。

⑬は、①から⑫の音読メニューを終えた後でやることになります。ここでは、じっくり読解、文法、単語の暗記をしましょうというものです。皆さん、気づかれたでしょうか。これらは、いわゆる学校の英語の授業で通常行われているものです。

皆さんは、①から⑫をせず、この⑬の作業のみをしていることが多いのではないでしょうか。音読のメニュー、①から⑫を先にすることで、リスニング力のみならず、読解の理解度、速度も上がることも実感されると思います。

また、CDを携帯にダウンロードし、すき間時間にすでに終えたチャプターのリスニングをしていきましょう。

「こだわり」のところでも申し上げましたが、音読メニューは、家または、静かなところで、椅子、ソファにすわってがっつりやろうということでした。

その作業が一通り終わった時点で、その後の⑬は、どこで行っても大丈夫なのです。電車でも、学校でも、カフェやオフィスでもすきま時間に作業を行いましょう。

音読学習がおすすめな理由

これから、私が音読をおすすめする理由を話そうと思います。この考えは、私の勝手な考えであり、正式に証明されたものではありません。モチベーションをあげるための一つの考え方、イメージとしてお聞きください。

メニューの①で行ったリスニングの理解力と比べて、音読学習をすすめることで、メニューの⑫では、飛躍的にリスニング力が伸びたことが感じられると思います。また、⑬のじっくり読解では、スムーズに読めるようになったことと思います。

このようなことから、音読を効率的にすることで、毎回達成感を得ることができます。

これが、脳に報酬として伝わり、自信につながっていきます。

また、この音読トレーニングは、スポーツをするような感覚でも取り組めると思います。通常の筋トレをすることで、少しずつ筋肉がついてくるのを実感するように、英語力の土台となる、「英語の筋肉」なるものが、音読をすることで少しずつついてくる感覚をイメージしましょう。

では、なぜ、短時間に英語力、特にリスニング力を上げることができたのでしょうか。私は、音読によって、様々な体の感覚器を使って、学習しているからだと思います。

つまり、

耳を使ってネイティブスピーカーの会話を聞く

目を使って文を読む

口の筋肉を使って発声する

口で発声した文を耳で聞く

頭を使って、意味を確認することで、英単語、英文法、表現を身につける

そういったことで、音読すると、実際の英会話を耳で、目で、口で感じ、そのうえで読解確認をすることで、多角的に会話内容が記憶に残り、実践的なボキャブラリーや表現力が増えていくのです。

習った単語が出てきても、リスニングのテストなどで、すぐに思い出せなかったり、英会話の中で、うまく引き出すことができなかったりすることがあります。なぜかというと、「会話または、文の中の単語」として覚えていないからです。

単語が・(てん)だとすると、点と点を結ぶ回路ができていないということです。点を線で結ぶには、英語力、英会話力のコアな部分である、「英語回路」を鍛える必要があるのです。

そして、音読こそが、その回路を作る、トレーニング方法だと私は思います。

音読学習をすることで、点と点が自然に線となって理解できるようになる。そして、脳の中の英語回路をつくりあげる、そんなイメージで音読学習に取り組んでいきましょう。

最後に

以上、私の音読学習のやり方を説明させていただきましたが、実際に実行に移してみても、英語力に伸び悩んでいる方がいましたら、それは、単純に量が足りないことが原因であることが多いと思います。

同じチャプターの音読を数十回以上するくらいする気持ちでいれば、力が伸びた実感を得ることができるのではないかと思います。

とにかく、音読を生活に取り入れて、少しでも継続することが大事だと思います。それぞれの目標に向かって、この記事が少しでもお役に立てればと思っております。

この音読学習法の解説は、すでにYouTube動画でも公開済みです。ブログで興味を持たれた方は、ぜひ、YouTubeの「黒板+音声」で、内容をご覧になり、理解を深めていただけばと思います。このブログでは、今後、動画をご覧になった方々からのQ&Aなども紹介していきます。

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